ごゆっくりどうぞ
時間はとても貴重なものです。
私は時間をとても大切にする家庭に生まれ育ったために、子供の頃から何かをゆっくりやるのが苦手で、ゆっくりやろうとすると逆に慌ててしまっていつも変なことになってしまいます。
簡単なことでもそうです。
例えば、歩いてどこかへ行くときにまだまだ時間に余裕があったとしても、ゆっくり歩くことができません。
「走れるなら走ったほうがいいじゃん」とか「走ればもっと早く着くよ」と考えてしまいます。
私の性格に備わったこの何でも急いでしまう癖は、良い影響も悪い影響ももたらします。
仕事をするときは、やるべきことを迅速かつ正確に終えることができるのでとても役に立ちます。
一方で、考えることなく体が動いてしまうことがあり、不注意によるミスや事故を起こしてしまうことがあります。
これは完全に悪い影響です。
子供の頃からよく事故に遭い、滑って転んだり、自転車やバイクで事故を起こしたり、ボートの事故で命を失いかけたこともあります。
また、身近な失敗も数多くあります。
夏休みには財布を落として警察署や銀行へ行ったり来たりしなければなりませんでした。
恋人ができたときも、お互いに愛し合っていたにもかかわらず、関係を終わらせる決断をしてしまったこともあります。
もっとしっかりと考えれば関係を続けることができたはずなのに、私の性急な決断によって二人は別れることになりました。
私はそのことを今も後悔しています。
「なぜ私はいつも急いでいるのか、何を探しているのか、何を追いかけているのか」ときどき私は自問します。
急いだことで失敗をし後悔するのはもう嫌です。
太陽は東から西へと毎日同じスピードで移動します。
季節も毎年同じように移り変わります。
私の人生だけどうしてそんなに急ぐ必要があるのでしょうか。
全ての物事には適切なタイミングというものがあるはずです。
急ぎ過ぎてもだめですし、遅すぎてもだめです。
タイミングを逃さずにチャンスを掴み取り、目的地に辿り着くことが大切なのです。
これからはただ急いで走るばかりでなく、途中の景色も楽しみながらゆっくりと前に進んでいきたいと思います。
人生はまだまだ長いですから。
もし悪い癖が出てまた急ぎそうになったときは、日本で聞きなじみのあるこの言葉を自分に言うことにします。
「ごゆっくりどうぞ」
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